四葉

「三つ葉ですね。」

「たくさんあるな。」

二人は緑に囲まれた広い丘にいた。

「四葉を見つけると幸せになれるそうですよ。」

「三つ葉しかないぞ?」

「だから見つかると幸せになるんです。」

あたりと見回すアーサーに菊は微笑んだ。

 

「見つからない。」

「ですね。」

ずっと探し続け、疲れた二人は並んで寝転がった。

青い空にはいくつかの雲が流れる。

二人はそれを眺めていた。

「あっ」

「菊?どうした?」

「見つけましたよ。あれ。」

指差す先には四つの雲が寄り添っていた。

「ずいぶん大きいの見つけたな。」

「持って帰れないですね。さて、向こうのほうを探してみますね。」

起き上がっていってしまった。

アーサーも起き上がった。

ふと菊の寝ていたところと自分の寝ていたところの間に目がいった。

「おっ」

 

「ないですね。夕方にもなりましたので帰りましょうか。」

少々残念そうに菊が言った。

「菊。」

自分の一歩前を歩く菊を呼び止めた。

「?」

「俺と菊が寝ていた間に咲いていた。」

アーサーが満足げな顔で菊の耳に四葉を掛けた。

「俺の幸せ、見つけた。」

四葉を付けた菊の頭をアーサーは撫でる。

なんで早く行ってくれなかったんですか?」

顔を赤く染めながら、アーサーに言った。

「だって

「?」

「見つけたら、ここで一緒にいられる時間が減るだろ?」