会議の前に

「おい、菊。早くしないと遅れるぞ。」

「えっ、もうそんな時間ですか?

あわてて、着替えを手に、部屋に駆け込んだ。

 

今日は大事な会議の日。

普通の時間に起きたのだが、菊は一つ困ったことが

「どうしましょう。」

慌てているためでもあるがうまくネクタイを結べずにいた。

「スーツなんてそんなもの着る機会なんてありませんよ。」

ため息混じりに結ぼうとがんばっていた。

 

「おーい。入るぞ。」

アーサーがドアノブを明けると、菊はさっと後ろを向いた。

。」

「どうしたんだよ。」

アーサーが菊に近寄る。

やっぱりできません。」

菊はあきらめてネクタイから手を離した。

「最初から言えばいいのに。」

くしゃくしゃになった菊のネクタイを伸ばし、アーサーは膝たちをして結んであげた。

菊は頬を赤らめてそっぽを向く。

「はい。ちゃんと今度からは言えよ。あー時間が。急げ。」

アーサーは菊の手を引っ張って家を出た。